通夜

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通夜(つや)は、仏教等で葬儀前に行う儀式のこと。

仏教の通夜[編集]

意義[編集]

起源は、紀元前383年2月15日の北インドのクシナガラ満月釈迦入滅後、悲しんだ弟子たちが遺体を見守りながら、死後7日間、釈迦が生涯をかけて説いた説法を弟子たちが夜通しお互い聞き合ったという故事によるもので、仏教の通夜は故人の成仏を祈ることではなく、大夜(たいや)という故人の現世での最後の夜を共に過ごすために集まった親しい人々が、遺体を取り囲み故人の思い出話を語り合うことであった。

曹洞宗では釈迦の弟子にならい、故人が釈迦のように遺族に対し遺言として遺教経を唱えるという意味で、道元が書き著した『正法眼蔵』から書き起こされた『修証義』を、住職とともに遺族らが一緒に読誦するのが本来の通夜の儀式である。すなわち故人が臨終間際の釈迦で、遺族を釈迦の弟子となぞらえたものである。

日本[編集]

通夜はもともと故人を葬る前に親族や知人が夜通しで死者を守ることを意味した。古くは葬儀に至るまでの夜を通して通夜と称した。しかし、時代の変化とともに、2時間程度の半通夜が一般化してきており、僧侶を招いて読経とともに焼香を行うという葬儀に準じた儀式となっている。通夜の儀式化に伴い、弔問客も会葬して行われる通夜を本通夜、遺族など近親者だけで前もって行われる通夜を仮通夜と称することもある。

通夜では一般的に、僧侶が読経を始め、しばらくすると親族や会葬者により順次焼香が行われる。読経の終了後に僧侶が法話説教を行う場合もある。

また、故人とともに最後の食事を行うという意味で通夜ぶるまいが行われる地域もある。故人の供養と参列者への御礼の意味で食事をふるまう地域もあれば、食事は家族のみで参列者は茶菓子や飲み物を受け取るだけの地域もある。

弔問客が帰ってからも親族が交代で死者を守るという習慣はみられ、特に夜伽(よとぎ)と称して夜を通して故人とともに過ごす地域もある。

昼間に勤務などで告別式に参列できないなどで、近親者以外は通夜のみに参列し、告別式には参列しない若しくは通夜のみで告別式を行わないのが一般的な地域もある(西日本全域、特に中国地方や北海道の一部の地域など)。

逆に通夜は近親者のみ参列し、一般の参列者は葬儀にのみ参列するのが一般的な地域もある(東北地方の一部の地域など)。

地方によっては、通夜を行わない風習を持つ地域もある(秋田県の一部など。秋田市や青森県弘前市では一般的に火葬を行ってから、通夜(逮夜)・告別式を行うことが多い)。また、もともと通夜を行っていた地方でも単身世帯の増加や高齢化の進行とともに通夜を行わず葬式だけ行う「1日葬」が増えている地域もある。

他宗教の儀礼[編集]

  • 神式の儀礼については通夜祭と呼ぶ(神葬祭を参照)。
  • ユダヤ教の儀礼についてはShemiraを参照。
  • 正教会(ギリシャ正教)にはギリシャ語の語源で「夜通しの祈り」を意味する「パニヒダ」という永眠者の為の式典がある。日本正教会では葬式前晩のパニヒダを通夜と呼ぶ事を忌避していない。

脚注[編集]

関連項目[編集]